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中東リスクで揺れる今、輸出コスト計算を見直すべき三つの理由

先月、ある精密機器メーカーの海外営業担当者とオンラインで話す機会がありました。 欧州向けの輸出がようやく軌道に乗ってきたタイミングで、「見積もりを出した時点と、実際に船積みする時点で、運賃が数十万円単位でずれる」という状況に直面しているとのことで

GRINDA AI
2026년 6월 20일
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中東リスクで揺れる今、輸出コスト計算を見直すべき三つの理由

中東リスクで原油高が続くなら、輸出コスト計算を今すぐ見直すべき理由

先月、ある精密機器メーカーの海外営業担当者とオンラインで話す機会がありました。 年間輸出額が数億円規模、欧州3カ国への直接輸出を担当されている方です。その方が直面していたのは、「見積もりを出した時点と、実際に船積みする時点で、数十万円単位でずれる」という状況でした。欧州向けの輸出がようやく軌道に乗り、月10ロット以上を安定出荷できるようになったタイミングでの出来事です。

結果的にその方がどう対処したかというと——見積もりフォームに「価格有効期間30日」の一文を追加し、フォワーダーに月次でBSR(バンカーサーチャージ率)の最新値を確認する運用に切り替えたそうです。それだけで、顧客との価格交渉における「なし崩し吸収」がかなり減ったと話していました。

「半年前の価格表を今も使っているんですが、さすがにそろそろ見直さないといけないのは分かっている。でも、どこから手をつければいいのか……」

この悩み、最近よく聞きます。 中東リスクが高まったまま原油価格が高止まりし、燃料サーチャージ(輸送コストに上乗せされる燃油割増料金)が下がる気配を見せない。そうした状況で、見積もり精度が落ち、気づかないうちに利益が削れていく。これは特定の企業だけの話ではありません。

私たちが海外展開を支援するなかで接してきた輸出企業のうち、直近6ヶ月間に相談があった企業の多くが、「輸送コストの変動を見積もりに反映できていない」という同じ課題を抱えていました。業種を問わず、製造業・食品・工業資材のいずれでも共通して出てくるパターンです。


輸出コスト計算がズレる「構造的な理由」を整理する

輸出コストの見積もりが狂いやすい理由は、大きく三つあります。

① 燃料サーチャージの変動が速すぎる

海上輸送の燃料サーチャージは、多くの船社が月次または隔月で改定します。 見積もりを作った月と実際に出荷する月が異なれば、料率がそのまま変わっている可能性があります。

特にバンカー(船舶用重油)価格は原油と連動しており、中東地域の地政学的リスクが高まると、現地の供給懸念から先物価格が動き、サーチャージへの反映も早まります。 日本船主協会の発表するBSRは月ごとに公開されていますので、これを定点観測しているかどうかだけで、見積もり精度がかなり変わります。

② 航路変更による海運運賃の上昇が見えにくい

2024年に入ってから、紅海を通過するルートへの攻撃が相次いだことで、多くのコンテナ船がスエズ運河経由からアフリカ南端の喜望峰ルートへ迂回しています。

この迂回によって、欧州向けの航路は距離が約6,000海里(およそ11,000km)増加し、輸送日数で7〜14日程度長くなるとされています(複数の海運アナリストの試算による)。 日数が伸びれば船社のコストが上がり、それが海運運賃に乗ってくる。さらに、港湾混雑による遅延も発生しやすくなります。

注意したいのは、この「迂回コスト」が正式な料金表に反映されるタイミングが遅れがちだという点です。 フォワーダー(国際輸送を手配する代理業者)に確認しても、「今は暫定割増があります」と言われて初めて気づくケースが、私たちが観察する範囲でも少なくありませんでした。

③ 為替と輸送コストが同時に動く

原油高は円安と連動しやすい局面があります。 エネルギーを輸入に頼る日本では、原油価格の上昇が貿易赤字を広げ、それが円安圧力になる——という経路です。

つまり、「運賃が上がる」「さらに円ベースの支払い金額も増える」という二重のコスト増が起きやすい。 売値をドル建てで固定している場合、円換算した利益はじわじわ削れていきます。


「利益が出ているつもり」が一番こわい

ここで一つ、率直に言わせてください。

輸出コストの見直しが遅れる企業に共通するパターンがあります。 それは**「昨年の実績ベースで採算が取れていると思っている」**という状態です。

例えば、欧州向けに1ロット100万円の商品を輸出しているとします。 昨年の輸送コストが15万円だったとして、そのまま採算計算をしていたとします。

しかし現在、同じロットの輸送コストが20〜22万円に上昇していたとしたら、5〜7万円分の利益が消えます。 これが毎月10ロットなら、年間600〜840万円の利益差になります。

数字は仮置きですが、構造として「あり得る話」として受け止めてもらえると思います。 輸出比率が高い中小企業ほど、この影響は無視できません。

「うちは長年の取引だから、フォワーダーが何かあれば言ってくれるはず」という前提は、今は少し見直した方がいいかもしれません。

フォワーダーも多くの荷主を抱えており、個別企業のコスト最適化まで能動的に動いてくれるとは限らないのが現実です。


海外営業担当者が今すぐできる「見直し」の実際

抽象的なアドバイスではなく、現場で使える手順を整理します。

ステップ1:直近3〜6ヶ月の輸送コストを「実費ベース」で再集計する

多くの企業が輸送費を「見積もり金額」で管理しています。 しかし実際の請求書ベースで、燃料サーチャージ・港湾費・迂回割増などの内訳を改めて確認してみると、1件あたりのコスト構成が変わっていることに気づきやすくなります。

フォワーダーから届く請求書の明細欄には、BAF(バンカー調整料)やECA surcharge(排出規制海域割増料)といった項目が複数並んでいることがあります。 これらを合算した「実質輸送単価」を商品カテゴリ・仕向け地ごとに把握するのが第一歩です。

ステップ2:見積もりの「有効期間」を明文化する

輸出見積もりを作成する際に「30日間有効」「60日間有効」と明示していない場合、後から運賃上昇分を顧客に転嫁しにくくなります。

特に欧米・中東向けのBtoB取引では、価格有効期限を明示することは商慣行として一般的です。 「弊社の価格は○日間有効とします。その後は改定の可能性があります」という一文を見積もりフォームに追加するだけで、交渉時の根拠が生まれます。

ステップ3:仕向け地別に「コスト感応度」を確認する

欧州向け、中東向け、東南アジア向けでは、原油高の影響度が異なります。

欧州は今回の紅海迂回の影響を直接受けているため、輸出コストの増加が顕著です。 一方、東南アジア向けは航路が比較的短く、サーチャージの変動幅がやや小さい傾向があります(ただし港湾混雑の影響は別途あります)。

自社の輸出ポートフォリオの中で、どの仕向け地が最もコスト変動リスクにさらされているかを把握することで、価格改定の優先順位が見えてきます。

ステップ4:複数フォワーダーの見積もりを定期的に比較する

1社のフォワーダーとの長期取引は、安心感がある反面、市場相場との乖離が生じやすい状態になることがあります。

半年に一度程度、別のフォワーダーに同条件での見積もりを依頼してみると、現在の取引価格が市場の相場と比べてどこに位置しているかが確認できます。 これは既存のフォワーダーに対しても、「定期的に見直している」というシグナルになります。


原油高が続く前提で、輸出戦略を組み替えるという発想

ここまでは「コスト管理」の話でしたが、もう少し視野を広げると、別の問いも浮かびます。

「輸送コストが高い市場と、低い市場を、意識的に使い分けているか?」

例えば、欧州向けの採算が原油高で圧迫されているなら、相対的に輸送コストが低い東南アジア市場での売上比率を高めることを検討する価値があります。 これは短期では難しいかもしれませんが、「高コスト航路に偏ったポートフォリオ」を持ち続けることのリスクとして認識しておくことは有益です。

実際に、ある製造業の方が東南アジアのバイヤーリストを活用して仕向け地を分散させた例があります。欧州一本だった輸出先を東南アジア2カ国に広げることで、航路リスクの偏りを緩和しつつ、新規取引先との接点を同時に作ることができたそうです。こうした仕向け地の多角化は、コスト管理の観点からも有効な手段の一つだと感じています。

また、現地在庫を持つことで個別出荷の頻度を下げ、コンテナ単位の輸送にまとめるという「ロット最適化」も、採算改善の手段として現実的です。

JETROの調査(2023年度版「日本企業の海外事業実態調査」)によれば、輸出拡大の障壁として「物流コストの上昇」を挙げる企業の割合は年々増加傾向にあります。 これは特定業種だけでなく、製造業・食品・工業資材など幅広いカテゴリで共通して見られる傾向です。


まとめ:「コストは固定」という前提を手放す時期

輸出ビジネスにおいて、輸出コスト計算を一度組んだら「それで終わり」という感覚は、今の環境では通用しにくくなっています。

原油価格が高止まりするなかで、燃料サーチャージの変動、航路の変更、為替の動き——これらが複合的に輸送コストを押し上げています。 そして怖いのは、これが「突発的なショック」ではなく、じわじわと続く「じわ上がり」であることです。 突発なら対処しやすい。じわ上がりは、気づいた時には利益がかなり削れている。

今日できることは、実費ベースのコスト確認と、見積もりの有効期限の明示、この二つだけでも始めてみることです。

輸出コストの見直しや仕向け地の優先順位について、何か具体的な状況をお持ちであれば、コメントで気軽にご共有ください。


よくある質問(Q&A)

Q1. 燃料サーチャージはどのくらいの頻度で確認すればいいですか? A. 月次での確認が基本です。日本船主協会が毎月BSR(バンカーサーチャージ率)を公開していますので、見積もり作成前に必ず最新の数値を参照することをおすすめします。中東リスクが高まっている局面では、隔週でのチェックも有効です。

Q2. フォワーダーが1社しかいない場合、海運運賃の相場をどうやって確認すればいいですか? A. Freightos・Xeneta・Drewryといった国際的な海運運賃インデックスを参照する方法があります。これらのデータと自社の請求書を比較するだけでも、現在の取引価格が市場水準からどの程度乖離しているかを大まかに把握できます。

Q3. 輸出コストの上昇分を顧客に転嫁するための、現実的な伝え方はありますか? A. 「価格有効期間の明示」と「コスト変動の根拠資料の提示」がポイントです。BSRや海運運賃インデックスなど公開データを引用し、「市場全体で起きている変動」として説明することで、個社都合ではなく客観的な理由として受け入れてもらいやすくなります。


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