タイへ輸出するには?
東南アジアの製造・物流ハブであるタイへの輸出をお考えの日本企業向けに、日タイEPA(JTEPA)の活用、タイFDA・TISI認証への対応、バイヤー発掘までを解説します。
要点まとめ
タイは東南アジアの製造・物流ハブであり、日本と長年にわたり深い経済関係を築いてきた国です。日本はタイの自動車産業への主要投資国として知られ、日系メーカーとその裾野産業の集積は、日本企業にとって部品・素材・設備のB2B販路そのものでもあります。消費市場としても、バンコクを中心に中間層・富裕層が厚く、日本食レストランの多さに象徴されるように日本文化・日本製品への親和性が高い市場です。化粧品、食品、生活雑貨などの消費財分野で日本ブランドは受け入れられやすく、EC・SNSコマースの普及が新たな販路を広げています。日タイEPA(JTEPA)をはじめ複数の経済連携協定が利用可能な点も輸出上の利点です。
市場概要
タイは東南アジアの製造・物流ハブであり、日本と長年にわたり深い経済関係を築いてきた国です。日本はタイの自動車産業への主要投資国として知られ、日系メーカーとその裾野産業の集積は、日本企業にとって部品・素材・設備のB2B販路そのものでもあります。消費市場としても、バンコクを中心に中間層・富裕層が厚く、日本食レストランの多さに象徴されるように日本文化・日本製品への親和性が高い市場です。化粧品、食品、生活雑貨などの消費財分野で日本ブランドは受け入れられやすく、EC・SNSコマースの普及が新たな販路を広げています。日タイEPA(JTEPA)をはじめ複数の経済連携協定が利用可能な点も輸出上の利点です。
市場特性
タイの消費市場はバンコク首都圏に購買力が集中し、地方都市との所得格差が大きいのが特徴です。日本文化への親和性は東南アジアでも際立っており、日本食レストランの広がりや日系コンビニ・小売の浸透を背景に、日本の食品・日用品・化粧品は受け入れられやすい土壌があります。高齢化が進みつつあることから、ヘルスケア・健康食品分野の需要も拡大傾向にあるとされます。ECはShopee・Lazadaを軸に成長しており、LINEの利用率が非常に高いことからLINE公式アカウントを使った販促・顧客接点づくりが有効です。中間層向けには価格感度への配慮が、富裕層向けには本物志向のプレミアム訴求が効きやすい二層構造の市場です。
規制および認証
タイでは品目ごとに規制当局と手続きが異なります。食品・化粧品・医薬品・医療機器・健康食品はタイFDA(食品医薬品委員会)への登録・届出が必要で、輸入ライセンスを持つ現地事業者を通じて申請するのが一般的です。電気製品や工業製品の一部はTISI(タイ工業標準院)の強制認証の対象で、対象品目は認証取得なしに輸入・販売できません。タイ語ラベルの表示義務にも対応が必要です。登録名義が現地輸入者に紐づく制度が多いため、代理店任せにせず名義の帰属と移転条件を契約で定めておくことが後々のトラブル防止につながります。規制は改定されるため、出荷前に最新要件を必ずご確認ください。
ビジネス文化
タイのビジネス文化は穏やかで対立を避ける傾向があり、相手の面子を保つコミュニケーションが重視されます。表立った「ノー」を言わないことが多いため、あいまいな返事を前向きな回答と受け取らず、具体的な次のアクションで意思を確認する姿勢が大切です。人間関係と信頼の構築が取引の前提となる点は日本と共通しており、丁寧な関係づくりは高く評価されます。日系企業との取引経験を持つ企業・人材が多く、日本的な品質・納期管理への理解も深いため、対日ビジネスは比較的進めやすい環境です。意思決定はオーナーやトップに集中する企業が多く、決裁権者との面談機会をつくることが商談を早めます。
バイヤー発掘方法
JETROバンコク事務所は、市場・規制情報の提供、商談会、パートナー候補の紹介など幅広い支援を行っており、バンコク日本人商工会議所のネットワークも日系B2B販路の開拓に役立ちます。現地では食品見本市や美容・ヘルスケア関連の展示会など分野別の国際見本市が定期開催されており、輸入商・流通業者との接点づくりに有効です。消費財では、日系百貨店・スーパーやコンビニチェーンのバイヤーへの提案、現地有力ディストリビューターとの提携が代表的な参入経路です。B2Bでは、日系自動車・電機メーカーの現地工場とその協力会社網への部品・素材・設備の売り込みが、日本企業の強みを活かしやすい王道ルートです。
通関および物流
日本からタイへの海上輸送は、主要港からレムチャバン港まで1〜2週間程度が目安で、航空便なら数日で到着します。レムチャバン港はバンコク近郊の最大のコンテナ港で、東部経済回廊(EEC)の工業地帯にも近く、産業財の物流拠点として機能しています。通関ではHSコードの分類や申告価格を巡る指摘が遅延の原因になりやすいため、現地に強い通関業者・フォワーダーの起用が重要です。協定税率を利用する場合は原産地証明書の事前準備を忘れずに。食品・化粧品などタイFDA管轄品目は、登録番号と輸入ライセンスが揃っていないと通関できないため、規制対応と物流計画を一体で進める必要があります。
価格および決済
タイ市場は中間層向けの価格競争が活発で、現地製品や周辺国製品との比較にさらされます。日本製品は品質プレミアムが認められやすいものの、流通マージンや販促費を織り込んだうえで現地の売価相場に収まる価格設計が重要です。決済は新規取引ではT/T前受けを原則とし、実績のある取引先には段階的に条件を緩和するのが安全です。大口取引や初回の大型案件ではL/C(信用状)の利用も検討できます。NEXIの輸出保険は代金回収リスクへの備えとして有効です。バーツと円・ドルの為替変動を踏まえ、建値通貨と価格見直し条件を契約で明確にしておきましょう。
マーケティングおよび現地化
タイの消費者へのリーチにはSNSが不可欠で、LINE・Facebook・TikTok・Instagramが主要チャネルです。インフルエンサーによるレビューやライブコマースの影響力が大きいとされます。「日本製」「日本品質」の訴求は有効ですが、タイ語での丁寧な製品説明と現地の生活文脈(気候・食習慣・美容習慣)に合わせた使い方提案が伴ってこそ効果を発揮します。パッケージ・販促物のタイ語化は基本で、タイFDA管轄品目は表示要件への適合も必要です。日系小売やジャパンフェア系イベントは初期の認知獲得の場として活用しやすく、そこでの実績を現地チェーンへの提案材料にする段階的展開が現実的です。
EPAおよび関税
日本とタイの間では、日タイEPA(JTEPA)、AJCEP(日ASEAN包括的経済連携)、RCEPが利用可能で、品目ごとに最も有利な協定を選択して適用できます。協定により関税削減のスケジュールと原産地規則が異なるため、自社製品のHSコードごとに各協定の税率を比較することが第一歩です。協定税率の適用には原産地証明書の取得(協定により自己申告制度の利用も可能)が必要です。多くの品目で関税の撤廃・削減が進んでいるとされますが、具体的な税率は必ず最新の税率表でご確認ください。原産地手続きは日本商工会議所やJETRO、通関業者に相談できます。
ビジネス文化
バイヤータイプ
大手流通チェーンバイヤー
現地の大手スーパー・ハイパーマーケット、コンビニチェーン、日系百貨店などの調達部門です。全国規模の販路を一気に確保できる可能性がある一方、上場料・販促費・返品条件などの取引条件が厳しく、タイFDA登録などの規制対応完了が前提となります。輸入ディストリビューター経由での納入が一般的です。
タイ製造業の購買担当者
自動車・電機を中心とするタイの製造業および日系メーカー現地工場の調達部門です。部品・素材・治工具・設備など日本企業の技術力が活きる調達ニーズが厚く、品質保証体制と現地サポート体制を示せれば長期安定取引につながります。日系サプライチェーンの存在は日本の中小企業にとって最大の足がかりです。
日本製品専門の輸入商
日本の食品・化粧品・生活雑貨などを専門に扱う輸入流通業者です。日本製品の規制対応や現地販路に精通しており、小規模ロットからの取引に応じてくれる場合もあるため、初参入のパートナーとして適しています。タイFDA登録の名義の扱いを契約で明確にしておくことが重要です。
オンラインECプラットフォームパートナー
Shopee・Lazada・TikTok Shopなどでストアを運営するセラーや運営代行会社です。少量からのテスト販売が可能で、SNS販促と連動した立ち上げが得意です。価格競争が激しく模倣品リスクもあるため、商標登録とプラットフォームのブランド保護制度を先行させることが推奨されます。
BOI恩典企業の協力会社
タイ投資委員会(BOI)の恩典を受けて進出した製造業とその協力会社網です。BOI恩典企業は生産用の機械・原材料の輸入で税制上の優遇を受けられる場合があり、日本からの設備・素材調達に前向きなことが多い販路です。工業団地のネットワークや商工会議所経由での接点づくりが有効です。
物流情報
所要期間
海上:日本主要港からレムチャバン港まで1〜2週間程度が目安。航空:数日
予想運送費
海上運賃は市況・時期により変動します。小口はLCL混載の活用も選択肢で、複数のフォワーダーからの見積もり比較を推奨します
決済方法
よくある質問
A. タイへ食品を輸出するには、輸入ライセンスを持つ現地事業者を通じてタイFDAへの登録・届出を行う必要があります。所要期間は品目の分類(一般食品か、健康食品などの管理度の高い区分か)や書類の完成度によって大きく異なり、届出で比較的短期間に済む場合もあれば、審査に数か月以上を要する場合もあります。成分表や製造工程表、自由販売証明書などの書類は日本側で早めに準備し、経験豊富な現地パートナーと進めることが期間短縮の近道です。
